ある女子高生のはなし


「あ〜どっかにあたしの言うことだけを聞く人間がいねぇかな」
”彼女”がぽつりと零す。
「その願いを叶えてあげる」
その彼女の前に少女が現れる。
「なによ、あんた。きもいんだけど」
「そんな言い方しなくてもいいじゃない。あなたの願いを叶えてあげるっていってるのに」
少女の右側から”彼”がでてくる。
「へ〜、ほんとにこいつが願いを叶えてくれんの?こいつがあたしの願いをきいてくれる人間なわけ?」
「そう、そのかわりこれだけは承諾してもらうわ」
「しょうだく〜?」
「そう、その人間はけしてあなたから逃げ出さないことを、ね」
そういうと少女は去っていった。

「え〜、なにそれ〜。ほんとに言うこときくの〜」
夜の公園で、彼女の友達が言う。
「マジだってば〜。たとえば〜、あそこのお酒もってきて〜」
「Yes,master」
そういって、”彼”は公園の中心に置いてある缶ビールを取りにいく。
「うわ〜、すごい〜」
「ねー、すごいでしょ」

――――3ヵ月後
「――のバカっ、あんたなんて殺してやる」
”彼女”が”彼女の彼氏”に言う。
「Yes,master」
「うわっ、なんだこいつ。たすけ……」
「完了しました」
”彼”が感情がない声で言う。
「あんたが殺したの?」
「命令でしたので」
その言葉が彼女の何かにさわった。
「そうよね……、めいれいだもの、じゃあ、お願いあなたも死んで」
「Yes,master」
そう言うと”彼は近くのマンションから飛び降りた。
「あははははははは」
”彼女”が狂ったように笑う。
しかし、すぐにその笑いは止まった。
「完了。死んできました。master」

その光景を遠くから見ている人影があった。
「だから言ったでしょ。”彼”は逃げないって」
――――彼女はけして逃げられない






あとがき:数Tの授業中に思いついて書いた作品。
     これはすらすら書けました。友人が面白いと言ってくれたのは素直に楽しかったです。
     つぎはぱにぽにの高瀬×円のSSをかきます。